●真中監督の次回作、主演は…誰だ!?
外は雨。梅雨模様です。
「ちぇーっ 今回の映画のヒロイン役はあたしじゃないのかぁ」
そこへ歩み寄る美鈴。

「北大路センパイ ちょっと換気してもいいですかぁ?」
と窓を全開にし、降り込んだ雨でびっしょり濡れるさつき。
「ぎゃーっっ!! いきなり何すんのよバカじゃないのアンタ!!」

「ダメダメ!! この作品のヒロインなら絶対今みたいな野蛮な態度とらないはずよ!?」
さつきの配役は『主人公の幼なじみ』と決まる。しかし決まったのはまだそれだけ。
主役もヒロイン役も不在なまま。このままでは練習も出来ない。
部屋でジッとしててもはじまらねーだろ? だから使えそーなコをスカウトしといてよ。
という理由で部活を解散させて出かける真中。
「ねえお兄ちゃん! お兄ちゃんのデータの中にはあのヒロインに似合いそうな娘いないわけ?」
美鈴は兄に頼むが、兄は言いよどむ。
『いるっていえばいるけど 真中は多分使いたがらないだろうな…』
真中のお目当ては、西野のメイド服なのか、館長へのケーキなのかよくよく通っているらしい。
真中は西野のバイトしてる店でケーキを買って、館長と映画の話を始める。
「ワシはな 映画とは人を幸せにするためにこそあると思ってる」
映画談義に華が咲くふたり。
「俺は驚かせたいんだ 俺の映画で! でもいい機材持ってねーし…」
「何が機材じゃウチで上映してる映画 ちゃんと観てんのか!?」

昔に思いを馳せる玉三郎館長。
「映画を手軽に作れる時代にいることを幸せだと思わんとな さらにそれで誰かを幸せに出来たら最高じゃな」

「あたし映画のことはさっぱりわからないけど…映画もケーキも似たようなものなんだね」
「…え?」
「だってさ どっちとも人を幸せにしてあげよう撮って気持ちは一緒だもん!」
その帰り西野と学園祭向けの第二作目の話をしたようで。
「頑張って! あたしも楽しみにしてるから」 と励ましをもらう。
そういえば 西野確か前に自分も映画作りに参加したかったって言ったことあったけど…。
今はもう無理だよな…。
西野は真中との交際の後、映画を観るようになったという。淳平くんもこの映画見たのかな〜なんて考えながら。
別れたあとも少しは考えてた…? と推測してしまう真中。
翌日の映研部室に飛び込んできたのは現国の佐藤先生。
『文芸星屑』の審査員特別賞に東城の作品が選ばれたそうなのだ。

「『文芸星屑』っていったら結構有名じゃん? 映画の脚本にしてもいい話書くなあって思ってたけどさ やっぱ東城って才能あるんだな …なぁ真中?」
外村の声が耳に入っていたかは定かではないが
部活へやって来た東城を囲んで祝福する美鈴を見ながら心ここにあらずな真中。

心落ち着けるために深呼吸して東城を祝福する真中。
「俺も頑張っていい映画撮らないと せっかくの脚本台無しにしちゃうもんな!」
と虚勢を張って笑うものの そんな真中の心中を東城はしっかり見抜いていた。

ふたりの帰り道。
空気がいつもと違い重々しい。
「降り出しそうだね 雨」
「まぁ 梅雨だからな…」
先に切り出したのは東城
「…真中くん もしかして怒ってるの?」
「…え ええ!? なんで?」
「だって…あたし真中くんに内緒で投稿したから…」
「いや…別にそんなの怒る理由にならねーし…」
「羨ましかったんだ…」
怒っているわけではない もし怒っているとしたらそれは自分に対しての怒りであり。
東城は世間的に認められているのに自分はなんなんだって思い始め
他人の成功に嫉妬し始めている自分はダメな証拠だよなと 素直に心情吐露する。
「…そんな風に言わないで」

「真中くんがいたから 今の自分がいるっていつも思ってるよ」
去年東城の脚本で作った映画に 素直に感動して涙したことをつげる東城。

「だから大丈夫!! 自分をちゃんと信じてあげて!」
少年マンガらしいひとコマだと思います。
このふたりのつながりはこういった創作過程における励まし合いにあると思います。
友情の行き着く先に、多少の恋愛感情が織り込まれ複雑になった感はあるのですが
私はこの関係が真中と東城をつなぐ絆であるようにとらえています。
「…俺 根が単純だからおだてられると立ち直り早いんだ〜」
その頃 美鈴はテアトル泉坂の近くで次回作のヒロイン像に近い女性を見つけていた。
近づいて声をかけようとしたところ通行人にぶつかって、手に持っていたジュースをその女性にかけてしまうが
ジュースをかけられたことよりも美鈴の制服を心配する反応振りに
美鈴は確信していた。
映画のヒロイン見つけたー!!!

それはまぎれもなく『西野つかさ』であった。
●主役大決定!?
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