修学旅行2日目。
自由行動で迷ってしまった東城を無事捜し出して、ホッとしたからだろうか、よくわからないけどどちらからともなく、俺達は…

唇を重ねようとしたまさにその瞬間。

真中は西野の姿を見てしまう!
その哀しげな西野の瞳を!
混乱する真中。
こんな所に西野がいるはずが…。
しかし周りを見れば桜海学園の制服がいる。目の錯覚ではない!

『運よく会えたらって少しは思ってた…けど こんな形で会うなんて…』
またしても最悪な事態を引き起こす真中。
東城だってこの状態でキスをしていたらますますこの話が面白くなっていったのに、
彼女はキス未遂については何も語らない。
もしかしたら今自分がキスをしようとしていた事さえわかっていないんじゃないだろうか。
そして宿に戻り、外村が真中に寄ってくる。
「どうした? 東城を見つけて帰ってきたあとやけにボーッとしてんじゃねーか」
「そうかぁー?」
「オマエ東城と絶対何かあっただろ〜っ 誰にも言わねーから少し聞かせろよ。なっ、なっ?」
東城とキスしようとしたこと。
その現場を西野に見られたこと。
「…俺、東城とは…よくわかんねーけどなんとなくそーゆー雰囲気になっただけで…。もしかして、俺また西野傷付けた…?」
「そー思うならさっさと謝れよ。携帯貸すから!!」
その頃、西野は入浴中。

真中と東城のあんな現場を見てしまって落ち着いていられるわけがない。
心ここにあらず。
隣りにいるのはトモコさんでしょうか。
「つかさぁ〜。アンタさっきからなんかおかしくない? 原因はアレでしょ清水寺でチューしてたカップル」
トモコの中ではすでに二人はキスしていることになっています…。
西野の寂しげな顔を見るたびに胸が痛くなります。
外村の携帯から西野の携帯にかけるものの、入浴中の西野にかかるはずもない。

「電話より…やっぱ俺、直接話するよ。西野だってこの京都のどこかにいるんだろ?」
悲壮な決意を秘めた真中。
悪いと思っているなら早くどっちかに決めろというのはNGワードです。
桜海学園の宿泊先を調べる方法。
ガードの固そうな女子校である、他校の学生が直接問い合わせて教えてもらえるわけがない。
しかし外村がただひとつだけ思い浮かんだ策。
南戸唯である。
挨拶もそこそこにいきなり本題に入り、唯を困らせる真中

「えーっ。久しぶりに声、聞いたと思ったらそんな内容」
「頼むから!! 唯だけが頼りなんだよ!!」
なんか四大ヒロインとしての扱いじゃなくなったよな。
妹扱いにされてないか? 唯ファンの方怒るぞ…。
…とにかく唯のおかげで桜海の宿がわかった。
真中はいよいよ行動を起こす。
「…外村。西野にメール打ってもらえるか?」
「いいけど…なんて!?」
「いまからそっちに行くって」
「バッ…簡単に旅館から外出できるわけねーだろ!?」
「なんとかする!! だから頼むよ。メール送って」
「いやオマエじゃなくて西野の方が!!」
その頃、西野は着信履歴の残った携帯をながめていた。
外村くんの携帯からかかってきた一件だけの着信履歴。
一回しかかけてこないって何!?
あたしと話すこともうなくなってゆーの!?
…でも話したって…余計辛くなるだけだったら…
暗い考えが否定できずますますつらくなる西野。

「噂をすればメールが…」
河下先生の一番うまいのはこういった心理描写です。
この西野の行動に全てが凝縮されています。
鳴らない電話が鳴った時、そこにどんなメッセージがあっても真摯に受け止めようとする。
「突然泣き出しても笑うなよなっ」

「……!」
慌てて部屋を飛び出そうとする西野。
「どうしたの? どこ行くのよ!」
「外!! ちょっと用事が
「ダメ! 無理よ!! この旅行中に悪いことしてバレたら退学モノだよ!?」
「それでも…それでもトモコは、あたしのこと見逃してくれるよね…!?」
深夜2時。
真中はホテルの前で待っていた。
秋とはいえこんな時間では寒さで凍えてしまわないだろうか? いや少しは頭を冷やしたほうが彼のためか?
遠くで『ガシャン』と音が聞こえた。

『言い訳をするつもりはない。そんなことを言うためにここに来たんじゃない』
近づく足音。
窓から心配げに見下ろすトモコ。
そして顔が引きつる真中。

『ただ西野と会いたいだけ』
危険を省みず、退学覚悟で飛び出してきた西野。
5分間だけの対面。時間は限られている。
「ごめん西野…」
「…謝るってことはやっぱり東城さんとつきあってるの?」
「そ、それはないよ!!」
「でも東城さんは淳平くんのこと好きだよね」
「今日のアレは迷ってた東城を見つけてお互いホッとしたらなんとなく」
かなり苦しい言い訳なんですが、西野は許したのでしょうか? だとしたらこの慈悲の心は深いですよ!
「淳平くん、メールに『西野と同じ学校ならよかった』って書いてあったでしょ? あの言葉すごく欲しかったから…」

「このまま学校なんて無視して、二人で修学旅行できたらいいのにね」
「…しよっか」
ふたりきりの修学旅行。
明日、西野と最高の思い出が作れますように
この記事の原作はこちらまで