修学旅行も終わり、クリスマス、正月と夢のような出来事があっという間に過ぎた三学期のその日。
「進路選択」という大きな問題に真中たちは直面する。
3年次に選択する授業科目の一覧表が配られると、高校入試時に補欠合格だった面々は、いよいよ真剣に今後のこと考えざるを得ない。
『いきなり現実に叩き落された気分だ…』
と真中も真中なりに今後のことを考え始める。

「やだーっ!! 受験勉強なんて始めたら高3で全然遊べないじゃーん!!」

「5月になったら真中18歳だし、この際あたしたち結婚しよ!!」
…そうか。そういう進路もありなんだっけ…。
当時学生だった時期には考えもしなかった進路である。
そんな提案にのって来ない真中にさつきは言う。
「ねぇ。もしかして東城さんと同じ大学狙ってんの?」
「そんなこと考えたこともねーよ!!」
「そっか。東城さんの方が真中に合わせる可能性もあるわね…」
まさか大学まで東城は真中に合わせるだろうか…。
可能性は無いとも言い切れない。
彼女は高校進学の際、『桜海学園』に受かったにもかかわらず、
泉坂高校に入学したのである。
中学時代、勉強会を行っていなければ。
あの時出会っていなければこの生活は無かったかもしれない…。

そう思うと、東城の誕生日にはちゃんとした物をあげたいと考えてしまうのである。
そして東城の誕生日当日。
朝一の学校の下駄箱で東城を待つ真中だが、先客がいた。
天地である。
授業の始まる一時間も前に来てひっそりと東城を待っていたのに、プレゼント渡す先を越された悲しみ。
真中と東城はクラスが違うため、この後は時間がなかなか取れないのである。
…もっと渡すのであれば効率のいい方法だってあるのだが、
そんな方法よりも感情から先走ってしまう17歳の真中である。
○教室まで行って東城を呼び出してもらうのも恥ずかしい。
○映研も活動していないから部室にも来ないだろうし。
○廊下でばったり出会っても、隣に友達とかいるとなんとなく言えない。
結局そのまま時間だけが過ぎ去り、生物室での授業中のことである。
宿題のプリントを教室に忘れた真中は、授業中教室までとりに戻る。
廊下を走る真中に見たことのある後ろ姿が目に入る。

『ん? あの後ろ姿は…』
その瞬間。廊下にかけてあったワックスに滑り…。

東城を転ばせてしまう…。
刺激的すぎるポーズだ。
しかもブルマ姿でこんな…。
真中の気持ちじゃないけど、「もう一回転んでっ」て言いたくなりそうなポーズ。
どんな形であれ、やっと東城とふたりだけになり、プレゼントを渡せた真中。

「東城これ! 誕生日おめでとう!!」
「う、嘘だって…。あたし真中くんに誕生日の話したこと一度もないよ…?」
じわ…っと浮かぶ涙が、東城の一番かわいいところですね。
けど鈍感な真中、涙の理由はコンタクトのせいだよな?
などとこの一番大切なところを軽くスルーします…。
プレゼントの中身は、『DVD』
今のところ真中にとってナンバーワンの映画である。
そのプレゼントをもらって感極まった東城は言う。

「今日…。いっしょに帰ろ!?」
その声を聞き、なぜか真中の脳裏に浮かんだのは
修学旅行でのキス未遂シーン。

ふたりでの下校。
だが、真中はこのふたりで一緒に帰る何気ないことが
今日にかぎってやたら恥ずかしかった。
そう。真中は『もしかしたら東城からのお礼にキス…』などと妄想していたからである。
何気なくプレゼントの話題となり、天地は東城にブランド物の時計をくれたと知る。
突然みぞおちを殴られたような気分になる真中。
プレゼントの金額の差に天地の東城への想いの深さを知り
何かを話している東城の声さえも今は耳にも届かず…立ち尽くしていた。

ようやく我に帰った真中の手を引き、どこかへ走り出す東城。
ついた先は、高台。
街を一望できる風景に、風に吹かれたい気持ちになった東城が
真中をつれてきた場所…。
「高いところってやっぱり気持ちいいよね。
風に吹かれたい時は、眼鏡はちょっと邪魔なんだ。」
「真中くんのプレゼント。あたし本当に嬉しかった。」

「あたし。真中くんの『一番』をもらえたから…」
ちょっと風が吹いたら…。いや吹かんでもいい。
綾ちゃん。
キミ、今すごく無防備すぎ…。
下着が見えるって…。

…ほらね。
せっかくいいシーンになりそうなのに、いつもこういうパンツシーンで読者を煙に巻く…。
でも東城も下着を見られたくらいでは
動じなくなってきているようなこの表情が不敵です。
こんなシーンに隠れて、真中が
『西野とさつきに会ってなかったら、間違いなく東城が一番なのに、だって全ては東城から始まったんだから…』
などと思っているのは、正月に遥さんに『健全』と言われたからだけではないでしょう。

服の裾をつかんで歩く東城。
これが彼女なりの線の引き方なのでしょうか。
でもこの微妙なほどのもどかしさが、読者として歯がゆく思うのだ。
(なまじラストを知っているだけに!)
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