真中にとって突然すぎる宣言であった。

「あたしね。高校卒業したらパリに留学するつもりなの」
今年のお正月に家族でパリに行った際。
本場のお菓子を食べて、フランスで菓子職人を目指したいと思ったというのである。
動揺を隠せない真中。
応援してあげたくても、何もかける言葉が見つからない。
缶コーヒーを買いに自販機へと走る真中だが、心の中は乱れに乱れていた。

『そうだよ…応援してあげなくてどうするんだよ。
俺だって東城に「夢最優先」って言ったばかりじゃないか…。
だけど…』
真中のネガティブ思考は際限がない。
『高校も別々だったのに、卒業したら海外って…。
俺のことなんてどうでもいいんだ。
だって俺達つきあってるわけじゃない…じゃん…
西野が俺のこともし…好きなら…
今以上遠くに行くことなんてしないって思うけど…
俺。遠まわしにフラれたんだろうか…』

すべり台下のトンネルの中でふたり。
コーヒーを飲みながら沈黙だけが支配する。
言いたいことは山ほどあるけど一度口に出したら
思わず引き止めてしまいそうだから。
そんな真中の様子を手にとるようにわかってしまう西野。
真中にもう一度チョコレートを勧める。
「もう一回食べてちゃんと確認して!
あたしが作ったチョコレートが留学するのにふさわしい味してるかどうか」
真中に馬乗りしてチョコを食べさせる西野。

「フランスなんてすぐそこじゃない。飛行機に乗る時間が少し長いってだけなんだから」
「本当に。本当にうまいと思う…」
お世辞抜きに西野の作ったチョコレートはおいしかったのだ。
西野の留学を引き止める理由が全然見つからないくらいに…。

「そう言ってもらわないとあたしも困るんだ。だっていっぱい愛情こめて作ったんだもん」
えっ? このセリフってどういう意味?
真中の胸が高鳴る。
まだ留学の件は父親に理解してもらっていないけど
これから説得すると意気込む西野。
その心意気を聞き、西野の留学の説得に力を貸すと言い出す真中に、西野の方から抱きついてきた…。

「ありがとう。淳平くんならきっと応援してくれるって信じてた」

『キス。 できそうな距離…』
真中さえほんの少し勇気があれば、その思いは成就するはずであった。
だが、できなかった。
心から西野の夢を応援できる時まで…。とプラトニックを貫いたのだ。
真中からそっと西野の体を離し
「家まで…送る…」
だが西野は納得いかなかった様子。
「…つまんない! じゃあ行こっ!!」
西野としては、キスしてほしかったのだ…。
口には出さなかったけど。きっと間違いなく。
『もっと時間が…そうだよ。西野、もっと時間くれよ。一年後に留学するなんて言わずに…』
家に帰ったらまだ唯がいた。
そして唯にきつい一撃をかまされる真中。
「淳平に比べて、女の子たちのレベルが以上に高いんだよ」

「そおでしょー? 東城さんも西野さんも頭いいし美人だし。
でも淳平ってなんちゅーか、見た目も中身もフツーってゆーか平凡っゆーか…」
唯ちゃん。よく言った!!
キミだけが代弁者だ!!
もっと言ってくれ。

さつきの進路希望は「お嫁さん」…。
「あたしは好きな人に一生尽くすことが一番の夢なのよーっ!!」
これでヒロイン達の進路が出揃いました。
○東城は真中と同じ大学に行ってまた一緒に映画を作るのが夢
○西野はパリに留学して菓子職人になるのが夢
○さつきはお嫁さんになって好きな人に一生尽くすことが夢
真中は昨日の唯との一件がこたえていたのでしょうか。

「もーよくわかんねぇ! ただひとつ言えることは俺は西野や東城やさつきとは釣りあわない人間だってことだね」

「あー。まぁ。確かにそーかもな。 じゃあさ。いっそのこと全て忘れちゃおうぜ!!」
その週の日曜日。外村が真中を元気付けるために連れて行った場所はカラオケ。
ただ、真中と外村以外にももっと人がいるようで…。

「ウチの学校の男4人と桜学1年の女子の集まりだって」
「やだーっ。外村さん遅ーい」
「あれーっ。その隣にいる人だぁれー?」
『こっ。これは…もしかして合コンというヤツなのでは…!?』
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