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いちご100% 第149話 「儚き結晶」  

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『でも あなたが好き』

『あなたのことが ずっと ずっと好き・・・!』


西野にとって一番見たくなかった映像である。
あわててパソコンを消す。



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『…あなたのことが、ずっとずっと好き。真中くん』


あくまでもさっきのは映画のなかのワンシーンである。

だが西野にとっては全然受け取り方が違う。


これは真中への東城の本気の告白なのである。
それは西野を含めた当事者だけが知っている真実。

中学のとき初めて東城と出会ったときから感じていた気持ち。
それを改めて見てしまった西野にとっては…。


不安になる。


西野にとって東城は恋のライバルだった。
本来ならみんなで泉坂高校に進学するはずだったのに
西野は泉坂高校には行かなかった。

しかし、その選択は結局失敗に終わってしまう。
だが紆余曲折を経て、再びふたりはつきあうことになった。


ふたりの大切な今が崩れ落ちてしまうかもしれない。

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西野はただ独りこの大きな不安にさいなまれていた。






帰り道。
西野は真中に聞く

「…そういえば
 外村君はあたしたちがつきあってること知ってるみたいだった」

「東城さんは? 東城さんの耳にもちゃんと入ってんのかなぁ」」


さっきの映像がどうしても気にかかってしょうがないのである。


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「それは…」
「あたし。淳平くんが好き」

真中はまだ事実を東城には伝えていない。

質問をしつつも西野はきっと知っている。
きっと東城さんにはまだ伝えていない。

だから不安が晴れない。
どうしても考えれば考えるほど、怖くてしょうがない。
だから口に出さずにいられない。


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「ずっと、ずっと大好きだから…!!」


こんなにいじらしく真中に寄り添っているのに真中は何をしてる?


なぜ抱きしめない?


それどころかこのバカと来たら…。
「お…俺も…西野のこと…好き…だよ…」


西野から目はそむけるは、どもるは…。
誠意なさげな返事だわ…。

この意気地なしがっ!!







『嵐泉祭』 の前日準備が始まる。

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文化部にとって最大のイベント。
そして高校生活最後の文化祭。


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会場設営も終わり、明日に備えて帰りだす面々。
チェックのために残ると真中がつぶやいたとき美鈴は何かを思いつく。

「あの!
 どうせならチェックついでに試写会しちゃいましょうよ!」


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「ではただいまより、
 主演のおふたりのための試写会を開催しまーす!!」


「他人に見られる前に二人で演技チェックしたいだろうって思って」


美鈴。切れ者です。
最高のお膳立てです。
去り際に東城にそっと囁くセリフが秀逸。

「先輩! 勇気を出してもう1度映画のあのセリフ…」


なんと。ここで東城に勇気を出させますか?
たしかにこの雰囲気で、東城が本気なら逆転もあり得るが…。






そしてふたりだけの試写会が始まった。

離れて座る。真中と東城。

もうすでにこの段階から美鈴の思惑が外れている。

『隣りになんて座れない…よな
 俺達。もうお互いにパートナーがいるんだから…』

ああもどかしいこの勘違い…。




しかしそれでも二人の前にあるスクリーンは、
中学生からの二人の思いが詰まった結晶を流し続けていく。

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「高校最後の年に…東城のこと撮れて本当に良かった」



映画が進むに連れ、東城の気持ちはあふれつつあった。


そして東城から動く。


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「真中くん…。真中くんは
 一緒にラブサンクチュアリ参加する人いる…の…?」

夢の結晶を前に、そして近づくべくクライマックスシーンを前に
東城の気持ちはあふれ出た。


だが真中の答えなんてまったく想像していなかった。



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「いるよ」
「西野と出る。俺達またつきあってんだ」


東城の時間が止まる。
たった一言で…。

東城にとって3年間秘め続けた心が崩れ落ちた瞬間であった。


皮肉にも、東城が伝えたかった言葉は
スクリーンの中の東城が伝えたのだが、今となってはもはや意味がなかった。



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告げられることなく消えた想い。
手を伸ばせば届く存在だったのに今はもう届かない。


「でもあなたが好き。あなたのことがずっとずっと好き…!」

このセリフに『真中くん』 と付け加えるだけでよかったのに。


思いは涙とともにこぼれ落ちてしまった。


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「ホント、気にしないで…」


気にしないでいられるかっ!

切ない…。

西野とキスしたあたりから
こーゆー話になることは予想が出来ていたし、
心の準備もそれなりに出来ていた。

さつきに伝えたときも切なかったが
今回はそれ以上に切ない。


まして涙の理由さえ…いえるわけがない。
映画に感動して泣いたなんて当然嘘で…。
本当にこの娘は最後まで人に気をつかって…。


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「ちょっ…東城先輩! 
 どうしたんです!? もしかして泣いて…」

門で待機していた美鈴の懐に飛び込む東城。

「先輩…?」




大波乱必至な『嵐泉祭』 開幕まであと1日…。









この記事の原作はこちらまで



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[ 2006/04/13 00:31 ] いちご100% | TB(0) | CM(4)
最終話まであと18話

今週のいちごストック終了
続きはまた来週です。
[ 2006/04/13 00:32 ] [ 編集 ]
覚悟はしてたけど・・・・・

この辺りからホントきつくなってきました(´;ω;`)
[ 2006/04/13 19:42 ] [ 編集 ]
すっとばしていますけど、東城さんの小説が「雑誌の新人賞の最終候補に残っている」という、重大な伏線が張られているんですよね。
[ 2006/04/14 00:01 ] [ 編集 ]
その伏線も非常に意味を持つ伏線なんですが、今回はそれよりも東城の告白につなぐ意味合いが強い回なのでそっちに重点を置かせていただきました。

こういう御指摘非常にありがたいです。
感謝!
[ 2006/04/16 22:34 ] [ 編集 ]
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