東城は見てしまう。
真中と西野の間につながれた手を…。
真中は見てしまう。
東城の横に立ち、肩を抱く男の姿を…。
そして時が凍りつく…。

真中は思わず西野とつないでいた手をほどいてしまうほど。
東城と並ぶ男はすげー美形の男で…。
東城と住む世界が違う人間のよーで…。
しかし、その心配は取り越し苦労であった。
長々ひっぱった東城に男性の影疑惑はあっという間に霧消した。

「ちっ。ちがうちがーう!!
弟なの弟! ごめんなさいバカなのこの子!!」
今回は東城の普段見ることのできない姿がいっぱい見れて
お腹いっぱいです!

「こっ。校内で保護者ぶるのやめてってば…」

「ちょ、ちょっとまた余計なこと〜〜!!」

「も〜〜〜アンタは、っとに〜〜〜っ」

普段とは違う一面を見せてしまい、照れる東城。
注さんまいったよ…。
なんで最初っからこーゆーキャラで出てこないかなぁ。
もしこんな感じで真中の前に現れていたら、
この物語こんなことにならなかったのに…。
とほのぼのしてた注さんを怒らせたのがこの真中。

『なんだぁ。そーゆーことだったんだ…』
彼氏だと思われていた男が実は弟だと知って安堵したこの顔。
たぶんみんながみんな怒りに震えたと確信するこの顔。
拳を叩きつけた方もきっといると思います。
東城たちが映画に行くというので西野に提案するが
「あ…じゃあ俺達も映画観に行く?」
「え? えっと…あたしできれば何か食べたいな」
と西野は強引にたこ焼き屋に引っ張っていってしまう。

映研を退部したちなみはアイドル部としてライブを展開していた。
「歩きっぱなしだから疲れないか? そろそろ映画見に行こうか」

「うん! でも、先に他のお店回らせて。ねっ」
この西野のかたくなな抵抗。
この笑顔の下に、どれだけ悲しい思いが隠されているのだろう。
しかし真中は全然気がついていない。
『機嫌が悪いわけでもなさそうなのに…』と勘違いしだす始末。
輪投げ。
近くのどうでもいいモノは簡単に取れるけれど
奥にある欲しいモノは輪が届かないからなかなか簡単に取れないゲーム。
「やってみなきゃわかんない…よっ!」
この言葉に西野の気持ちが詰まっています。
西野つかさはこーゆー女の子なんです。
自分の信じる道。想いを叶えるために行動する女の子なんです。
けれど今そんな女の子に陰がさしています。

「一番欲しい物って、なんで簡単に手に入らないようにできてるんだろうね」
西野の心は嵐泉祭以前から乱されていたに違いない。
また中学のときと同じ事を繰り返してしまうのだろうか?
もう西野の心の容積はこぼれる寸前だった。
「…あたし帰る」
このひとことでも、真中には理解できなかった。
「ちゃんと理由聞かせてくれよ、映画も見ずに帰るなんて…!」
もうダメだ…。
こいつ自分のことしか考えてねぇ。
どうして西野がそう言うのかさえ理解できないのか。
とうとう西野が想いを爆発させる。
しかし、それは静かで。
また確実に真中を詰めていった。

「どうしてあの映画観せたいって思えるの?」
西野の後ろ姿が痛い。
以前偶然見てしまった今年の映画。
東城の本気の想いが詰まった映画。
そんな映画を見てどうしろって?

「さっき東城さんと会った時も、あたしの手パッて放した…」
真中自身もう迷わないというような意思表示が
この手を握るという行為だったはずだ。
『だから手をつながせて。俺の心がこれ以上ふらつかないように』
と心に言い聞かせていたはずなのに…。
「な、なんとなく恥ずかしかったからじゃねーかな。
深い意味はないけど…」
ダメだ真中。それじゃ答えにならない。
西野の心の溝を埋められない。

「じゃあどうして。
東城さんが文化祭に誘ったのが弟さんってわかって、
淳平くんホッとしてたの…」
切ない…。
東城のみならず西野まで…。
こんなに悲しい顔をさせやがって…。
不安な顔。泣き出しそうな顔を見せまいと
頑張って、無理してまで笑顔を作ろうとしているけど
どうしても気持ちが先行してしまう。
いちごファンすべてが同情するこのなんともいえない表情
そしていちごファンすべてが真中のことを見限った瞬間である。

「…だめだ。ごめんうまく笑えない…」
そんな気づかいしなくていいっ…!なんで西野が誤る必要があるんだ。
図星だった真中に何が言えるだろう。
「前みたいに不安な気持ちでつきあうのはいや…
あんな思いもう味わいたくないって思ってたのに、なのに」
何ひとつ確かなものがあったわけではない。
高校生になってからの、交際のスタート地点が明確でなかったふたりにとって
そもそも、付き合うという感情があったかどーか定かではないのだが…。
ただ、その時わかっていたこと。真中は東城のことを好きなんだということ。
そしてその東城が再びふたりの間に立ちはだかるなんて…。
そのころ東城は正太郎の映画の感想を聞いていた。
「海辺での告白シーン…。
ねーちゃん。アレ。本気で言ってんだろ」

「中学のときからねーちゃんが好きな男ってアイツだったんだな」
「そうなんだろ。ねーちゃん」
弟に言われてはじめて気づいたわけではないはずだ。
あの日。
あのシーンのスタート以前から東城の中では
いつか伝えるべく言葉として温めておいた言葉であると信じたい。
そして誰が見たって本気の告白だったと感じているはずだ。

「あたしバカだね、淳平くんのことがどうしようもないぐらい…」
錯綜する想い。
もつれあう感情。
何よりもこの一連の会話を木陰で
すべて聞いてしまったこずえがもっと痛々しい。
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優柔不断にも程があるだろうと・・