話の冒頭からいくつか大事なところがスルーされている。
前話で出た右島の「殴ってやる」は描かれていない。
(実はこのシーンをかなり期待していた。
真中がおもいっきりぶん殴られるシーンを見たかったのだ。
殴りながら右島がどんな言葉を真中に向けるのかを見たかったのだ。)そして。

こずえからの真中への別れの言葉。
「あ、あの。あたし、もう一緒に帰ってもらわなくても大丈夫だから…
真中さん。塾来てない間ずっと一人で帰ってたし。だから…
…さよならっ」
ここまで言われたのに、こずえの恋心は真中には伝わってはいなかった。
・゚・(つД`)・゚・
…こずえの気持ちがあっけなくスルーされた。
「あーん。そんなのひどいよぉ」
・゚・(つД`)・゚・そして塾帰りの真中に美鈴から電話が入る。

「映画監督の角倉周って知ってます?」

角倉周。
ショートフィルム部門で賞を獲ったことのある、泉坂高校の卒業生。
そんな新進気鋭の若手映画監督が真中の作品を観て
『俺は優勝でもいいと思う』
『一番情熱がこもっていた』と褒め上げて
『真中の一人で撮った作品が観たい』と言ってきたのである。
話をしていくうちに、実は角倉監督。
東城が映研立ち上げの際に持ってきた作品の『作者』であったことが判明。
さらに驚きの新事実。
その作品の中に出てきた女の子。
(読者はそんな存在が出てたことさえ知らないのだが…)


その映画のヒロイン役の『栞ちゃん』が黒川センセイだったなんて…。
新進気鋭監督からの夢のような本当の話。
真中の作った映画を観たい。

だが、真中の作った映画はすべて東城の脚本があってこその評価である。
脚本担当の東城にはこの話を伝えられない。
まして、東城の告白を蹴ってまで西野を選んだ手前
東城に相談できることではないとの判断である。
『自分だけの力で挑戦…。
そうだよ、これは誰のものでもない俺だけの夢なんだから…!!』
そして、豆大福を手土産に…。
唯に頼る。
だが、真中が唯に持っていったシナリオは
素人の唯から見ても面白いものではなかったらしい。
田舎娘が上京して都会に驚く設定…。
当然そんなシナリオ唯が納得するわけがない。

「淳平の力で唯の魅力もっと引き出して」
…ごめん。ちょっとだけ唯に惹かれた。真中としては、角倉に映画を見せることで
当然自らを売り込みたいところである。
あわよくば角倉の下で映画に関して学びたいという野心がある。

そんななか、真中は新聞に載った東城の記事を見る。
東城の文才について、いち早く発見したという自負がある真中にとって
東城の才能が人に認められることは素直に嬉しかった。
そんな真中は初心に戻り
ビデオカメラ片手に屋上に出る。
中学のときとは違い、立入禁止の札もなく。
階段の段数も数えることなく。

ドアを開けたそこには…。
わーい。東城のパンツキタ――――――――ッ!!
キタ━━━いちご━━━(゜∀゜)━━━パンツ━━━!!!!『と、撮ってしまった。
風にたなびくスカートからのぞくいちごパンツ…!』

「ただ。あのコのパンツがめくれる瞬間をビデオに収めたいだけなんだ!!」
真中の夢が実現しました…。
どんどん伏線が消えていきます。
最終回まであと何話? って感じですよ。
あの文化祭の夜以来。
久し振りの対面。
ぎこちなさが目立つふたり。
「東城の才能を見抜いてた一人としては。俺ホント嬉しいんだ…。」
「美鈴ちゃんから聞いてるわ。
プロの映画監督に声かけてもらえたって…おめでとう!」
東城の脚本から脱却を図るため、一から作り直すことを告げる真中。

この寂しげな東城の表情がなんか胸を突きます。
「…けど受験勉強があるんじゃ…」
「映画の道に進めるなら大学行く理由別にねーもん」
深読みなのかもしれないが、
東城としては真中に対して未練がないといったら嘘であろう。
できれば真中の夢の実現に関して、自らが脚本を書いてあげたいという
そういった複雑な気持ちが表れているのではないかと読んでしまうのである。

それから俺達は黙り込んで屋上からの景色を眺めていた。
けれど見つめる先は多分同じ場所ではないだろう。
だから頑張るんだ。自分一人だけの力で。
かつて屋上といえば
ふたりの夢が同じ方向に向かって行くための空間であった。
だが今ふたりの関係は今までのそれではない。
互いに向かっていた恋愛関係は解消され
それぞれ個人としての未来や夢に向かって動き始めていく。
ふたりの後ろ姿が切ない
ふたりの向いている方角が
もう再び交わることはないのであろうか。
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10日ぶりの『いちご』お届けします。