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いちご100% 第163話 「あたしから」 

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「西野さんも、真中くん待ってるの…?」


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西野は戸惑う。
それは当然。


なぜ? なぜここに東城さんが来るの?


本命の受験日のあとに会いたいと、
真中からの電話は西野ひとりだけのものではなかったということか。

真中の帰りを待ちわびていた西野にとって
ここでの東城との出会いは読者に「清算につきあう覚悟」を求めるものであった。



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「どうしても真中くんに話したいことがあって…
 真中くんも多分あたしに聞きたいことがあると思うから」


(注さんの深読みか? 
 もうこの瞬間から東城は西野と目を合わせない。
 そしてその振る舞いが今まで東城とは別人である。)




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ついにこの日が。この瞬間が来てしまった。


ついに決着を。けじめをつける日が来てしまった。



今回ばかりは1コマたりとも見落とすな!!



この瞬間まで、真中淳平を中心にさまざまなヒロインが
中学生活そして高校生活という名の甘酸っぱい時代を走り回った。


そう。それこそ真剣に走った。


…その結果。
真中のそばには最初から真中のことを想っていたふたりが残った。



2月13日。
真中淳平にとっては本命の大学受験日であったが
ふたりのヒロインにとってはこの日が本命の相手とのそれぞれの決着日となるのである。


唯から東城にかけられた電話。
はたしてその内容はどういうものであったのか?


勉強会でのキスシーンか?

または…ベッドの下に置き忘れた下着のことなのか?


そして。
もしそのような内容の電話であるのなら…。
どのような形で『清算』するのであろうか…。





そしてそんな一触即発な修羅場に
雪の上を懸命に走ってきた真中がたどりついた。


そして息を整える間も無く発した言葉は西野の表情を暗くさせるものであった。

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「話があるんだ。東城…!」

言葉の意味をはかりかねる西野と、何かを決意したかの東城の顔がそれぞれに切ない。


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「淳平くん。あたし…?」
「あっ。えっ。えっと…。ちょっと。急用でその…」


なぜここで素直に東城と確認したいことがあると、西野に対して一言のフォローも入れないのであろうか。
そのせいでますます西野に不安をあおっているということに気がつかない。


「西野さんとの約束の後でもいいけど…」
と言いつつさりげなく真中の頭上に傘をかざす東城。
そして西野のほうを一度も見ない。
こんなにクールを貫く姿は今までの東城のキャラではない。


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そして一度うつむき、
無理やりに笑顔を作った西野は自身のしていたマフラーを真中に巻く
「これ。風邪ひいたらいけないから」


そして西野は帰っていく。
傘に隠れたその表情さえ読者に見せないものの

決してファンにとって見て楽しいものではないのは確かだ…。



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「お店に入ったらせっかくのマフラーはずしちゃうことになっちゃうし…」

この東城の心遣いがちょっとした前奏になるなど気がつかなかった。



東城の提案でふたりは裏の公園に向かう。



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ベンチに腰掛けるふたり。


東城に昨日のことを確認したい。
唯の言っていたことがはたして本当なのか。
もし本当なら東城の気持ちは…。

真中としては、この唯からの話をどのように東城から聞き出そうか迷っていた。
だが、話が話なだけになかなかきっかけをつかみかねていたのだが。


受験の出来から話は始まった。
予想より難しくて、せっかく東城に勉強見てもらったのに。と謝る真中。



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「…気。使わないで。
 本当は唯ちゃんに言われた内容に動揺していたからでしょう…?」


話を切り出したのは、覚悟を決めた東城だった。
ここから『清算』が始まる。


この事態さえも笑い話として片付けたかった真中であったが

東城はそれを許さない。



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「…意識なかったんだね」
「そうそう」
「じゃあ、詳しく話すね」


唯が見たのは、
真中が東城の上に覆い被さっていたこと。
そして東城も真中の背中に手をまわしていたこと。
そのときキスはしていなかった。 


多分、顔が近かったからそう見えただけ…。



「でも。その前に…してるの」



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「キス……。 あたしから、真中くんに」


本来ならこの発言は真中に向かって言うつもりではなかった。


だが…。
東城は清算しなければならなかった…。

たとえ、抱擁の現場をキスシーンと勘違いされてしまっていても。

実は唯の見た現場は、キスの後の抱擁だったのだから。



東城にとって、真中への想いの終着点は
誰にも見られず。
誰にも知られずに

東城だけの秘密として、胸の中でひっそりと終わるはずであった。


だが運命のいたずらで唯に見つかってしまった。


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「勝手なことして怒ってたらごめんなさい…。
 けどもうあたし何も望まないから、
 こんなことで想いが満たされたってわけでないけど
 あたしは…やっと前に進める気がするから」



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「真中くんを好きだったことも、結局は実らなかったことも全部に感謝できるよ。
 あたしの中の様々な感情を真中くんのお陰で知ることができたから」



いま東城の表情は吹っ切れたいい顔をしていた。



複雑な気持ちを引きずりながらこの先の人生を過ごすよりも
いまこの瞬間にすべてに決着をつけて前を向こうとする。
東城の瞳はたしかに未来を見つめていた。



そして自ら立ち上がり、別れを切り出す。



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「……じゃあ。
 唯ちゃんを責めないであげてね」


こんな瞬間でも真中のことをおもいやって笑顔で去っていく東城。



ひとり残された真中は、去っていく東城の背中に向かって語りかける。


『もう一度振り返ってくれ。東城!』

『…いや。振り返るな』



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『振り返るな―…。』


もう一度振り返りたい。
でも振り返れない、東城。

もう一度だけ振り返って欲しい。
でも振り返って欲しくない、真中。




別れの際には涙無しではいられない。


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真中はベンチに崩れ落ち、声を殺し泣いた。


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東城も真中への気持ちを断ち切るために傘を握り締めながら涙をこぼした。












ザッ……


風がおさげをゆらす。


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初めて東城の小説を読んだ次の日。
小説のイメージを映画にしたいと語ったその日。



初めて出会った女の子が、初恋の女の子だった。


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自分の夢を語っても笑わずに聞いてくれた女の子が東城だった。



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互いに互いの才能を認め合い、励ましあいながら時間を紡いできた。



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それは映画や小説のみならず、ふたりでいれば何だってできるような気がした。


そう。ふたりでいれば無敵になったかのようなパワーがあった。




もしあの頃に、もっと早くお互いの気持ちに気付いていれば…。

もっと早い段階で、ちゃんとその思いを伝えていれば…。



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このマンガはもっと早くに完結した。(ぉぃ)







翌日。真中あてに届いた封筒には
東城が中学の時書いていた小説のノートと
その続きが書かれているノートが入っていた…。



数学のノートに書かれた小説。


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それはふたりだけのささやかな夢の結晶。
ふたりのほかには誰も知らない、ふたりをつなぐノートであった。


それが真中のところに送られてきた。

これが何を意味するのであろうか。



『東城』の気持ちがつまったノート




次回。物語が大きく動く!!










この記事の原作はこちらまで

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河下 水希 (2005/12/02)
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[ 2006/06/17 00:39 ] いちご100% | TB(0) | CM(4)
すっげーひさしぶりに書きました。

絵の置き方も、文字色の変え方も、フォント変更も忘れるくらい。

今回も書きながら泣いた・・・。
[ 2006/06/17 00:52 ] [ 編集 ]
いや、毎度のことながら、ごくろうさまでした。
CDを聴いてしまうと、このところの描かれていない部分がどうしても補完されてしまうので、これはこれで大事なところなのでしょうね。
[ 2006/06/17 01:07 ] [ 編集 ]
CD聞いたあとに書くと
またぜんぜん違う一面を補完しながら書けるのでしょう。

買いたいんですけどね。

宝塚記念勝ったら買うか!!
って2月も同じこと言ってたな…。
[ 2006/06/17 01:17 ] [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[ 2006/06/17 01:56 ] [ 編集 ]
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