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いちご100% 第164話 「あの日のノート」 

昨日のうちに電話ができなかったことを西野に謝る真中。


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「―悪いと思ってるよ。ワガママ言って
 ただ、どうしても西野に会いたくて―…」


電話で話す真中の背後には、東城からのノートが置かれていた。


その日。
2月14日。

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一日泣きはらして疲れきった真中の目に飛び込んだのは東城からのノートだった。

「…なんでこれが…」


東城が勉強のあいまに書いていたファンタジー小説。

主人公の生まれた国を治める美しい王女と主人公と同じ夢を持つ
はた織りの少女。



この小説に登場するふたりのヒロイン。
それはまさに東城と西野そのものだった。



東城はこの物語の結末を、最初から決めていた。


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「あの物語の最後。
 すべての戦いが終わって、疲れ果てた体で主人公が帰ったところは
 美しい王女のもとではなくて、同じ志を持った女の子のところだったのよ」


真中が西野との交際を始めた日。
その結末は変更された。


その後、真中と西野の交際が終わったことを知った東城。
バレンタインを境に一気に東城と真中との距離が縮まったその日。

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「あたし。 あの小説の主人公が
 ふたりのヒロインのうちどっちを選ぶのか、今やっとわかった気がするの」

部室で真中から抱きしめられたとき。東城の中で物語に再度変更が加えられた。

それ以後。小説のラストについて特に言及してきたところは今日まで無い。



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『…大丈夫なのか?
 これを読み終わったあとも
 俺はまだ西野と上手くやっていけるのか?』

このノートに書かれている物語が真中の心を揺り動かすのか?


前話で東城と真中の恋愛感情は清算したはずなのに、まだここからドンデン返しなのか?


まさかとは思う。
3冊のノートに書かれた物語の結末。
それは真中と西野の仲さえもくつがえす内容だとでもいうのか。

小説のラストに。
そこに東城の隠された想いがあるというのか。


だとしたら。あの決別は一体何だったのか。


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『東城は三人の登場人物にどういう結末を与えたのか』



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そして真中はノートを開く。

ノートに描かれたそれぞれの登場人物と真中・西野・東城を重ね合わせながら…。







そのころ、それぞれの場所でそれぞれの未来に向けて現在が動き始めていた。

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きりっと着物を着付けたさつき。
「『あの時、つきあっときゃよかった!』って言わせてやるんだからね!」


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「ちなみの真心溶けないうちにみんな召しあがれ」
パトロン目当てに余念の無いちなみ。


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「あたしは恋愛って素敵だと思ってるよ!」
恋愛に費やすエネルギーには意味があるという発言である。
初めて出会ったときからは全然想像つかなかったが、
憧れの東城が精一杯恋愛に生きた点を見てなにかが変わったのだろう。


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「これつまんね―物だけど…受け取ってくれや」
硬派右島の仁義。
予備校での勉強の助け合いから、お互いに異性に対して苦手同士の微妙なスタート。



なんでこんなに一気に人間関係を整理し始める?

この後一体なにを清算するのか!?






雪の降り止まぬ2月14日。バレンタインデー。
真中の急な呼び出しは一体なにを意味するものなのか?

夕食を共にする二人。

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『西野。昨日のこと全然尋ねてこない。
 思えば中3の時からずっとこうだ。
 俺達いつも肝心な部分には触れないままで』


違うだろ。
お前が全然肝心な部分に触れないまま逃げ回ってきたんじゃないか!?

西野は一度も逃げたことがない、自分の気持ちを前面に出してきていた。
それを真中が気がつかなかっただけで、読者はいつも痛いほど気付いていた。




『西野はカンがいいからこのあと何が起こるのか、もう気付いてるみたいで』




ふたりはカラオケボックスの個室に入る。
つとめて明るく振舞う西野。

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ほとんどが西野主導で進む中、真中は一人何かを決意した顔である。




『わざと明るく振舞って。 わざと明るい曲歌って――』




時間だけがすぎていく。


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西野が歌う曲の分だけ――
グラスの中身だけが減っていく――



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そして沈黙のときが訪れる…。



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西野はすでに何らかの覚悟を決めていた。


だがあえて真中に甘える。


「あたし。淳平くんの歌声が好き。
 淳平くんの声ってどことなく優しい響きがするんだ。
 ひさしぶりに聞けると思ったんだけど――」


真中の歌声でこの切ない空気を緩和しつつ、
西野はそれで自分の心を慰めるつもりであったのか?



その西野の気持ちを受けた真中がついに動き出す。



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「西野。話があるんだ…」




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「うん…」


西野の瞳が痛い…。
こんなタイミングで真中がなにをしでかすのかが怖い。


うつむく真中。


そしてベッドの上に置き去りにされたノート達。





カラオケボックスの外ではいまだに雪が降りやまず。

『清算』の夜はまだ始まったばかりである…。









この記事の原作はこちらまで

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[ 2006/06/29 22:17 ] いちご100% | TB(0) | CM(3)
へたな約束はしないほうがいい。
守れないなら最初からしないほうがいい。

そんなことを学ばせていただいた月末でした。

それでは164話お楽しみください。
[ 2006/06/30 00:17 ] [ 編集 ]
この回は黙るのが礼儀でしょう。……
[ 2006/06/30 01:44 ] [ 編集 ]
いったい、どうなってしまうのか!!(ガチンコ風)

このあと、予想だにしない事態が!!(ってなるかなぁ…笑)

注さん、がんばってくださいね。   では。^^
[ 2006/06/30 19:10 ] [ 編集 ]
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