5年前の日付の入った一枚の写真がある。
写っているのは俺とひとりの女の子。
来年もこの海で会おうと約束したものの、俺はその約束を果たせなかった。
それでもこの5年間。
俺は彼女のことがずっとずっと好きだった。
河下水希 『夏色グラフィティ』思いっきり季節外れの話で申し訳ない。
クリスマスに夏の話を贈るのもアレだけど。
永年読みたかったし、また欲しかったこの作品をある方から頂きましたんで
ぜひ仕上げたいと思って取りくみ始めた次第です。
イブの夜。
独りで見るもよし。
ふたりで見るもよし。
みんなで見るもよし。
後日チェックするもよし。(つд`)しようよ、想い出以上の恋!
作ろう、二人だけの伝説!!■再開は風が運ぶ。
晃一は5年ぶりに島に帰ってきていた。
友人のヒロシとともに浜に出て水平線を眺めていると…。
晃一の顔になにかが飛んできた。
「なんだよ。なんで俺の顔にゴミが…」
しかしそれはゴミ以上に凄いモノだった。
「パンツ」そしてそれを追いかけてきた女の子。
「ごめんなさい。えっとそれ、あたしの…です」
「だから…その。
し、使用前です! そのパンツ…」
おいおい。
注さんだったらこんな出逢い、ヤダよ。だが晃一の視線は、僕らの予想のさらに上を行く。
「…んじゃ。今って何もはいてない…とか?」
「…バカ!」
おもむろに蹴りを喰らう晃一。
まったくです。実はその女の子こそ、5年前の写真の女の子。
夕夏ちゃん。
5年も経てば女の子は変わる。
当時はショートカットでダサい水着を着ていた。
まるで男の子のような夕夏は時とともに別人になっていた。
■島の背景
夕夏の実家は『竹田和菓子店』を経営している。
現在は島の伝説にちなんだ、ハート型の貝をモチーフに鋭意製作中。
この島の名物にすべく新商品を開発している。
ちなみにハート型の貝にはこんな伝説がある。
昔むかしこの島で出会った若い男女がいた。
男は自分の想いと再開の約束をハート形に欠けた貝殻に込めて女に渡した。
その後約束は叶いふたりは永遠に結ばれた。
どこにでもあるような昔話である。
だが、ハート型の貝殻モナカもその貝殻にまつわる伝説も、
すべては来年予定されているリゾート化計画のためのアイディアである。
■5年間
翌日。
夕夏は水着で海岸にいた。
5年前からは想像もつかないようなビキニ姿に戸惑う晃一。
毎年夕夏はこの海に来ていた。
夕夏も晃一もこの島の住人ではない。
ふたりの実家がこの島にあるという関係でちょっとした幼なじみの関係である。
そして、ようやく再会が果たせたこの夏。
昨日の再会のギクシャクが不安のままだった夕夏。
砂浜に『こういちくん』と残した文字が猛烈にいじらしい。
「どこ見て言ってんのよ。スケベ!!」
そしてふたりはケンカしながらも失われた5年間の溝を埋め始める。
せっかく会えたのに、ケンカで終わってしまってはつまらない。
怒ってばかりでは、楽しいものにしたいこの夏もまた過ぎていってしまう。
「およご! 晃一くん」
5年間。
空白の時間が、それぞれの心も、身体も成長させていた。
互いに互いを意識してしまう。
それは無理もない話しであった。晃一は即物的に意識する。
『こんなエッチなカラダになっちゃうんだもんなあー』思わず水着のヒモを解いてみたいという欲望に突き動かされてしまう。
夕夏もまた晃一を意識していた。
明後日の晩に行われる花火大会。
「よかったら、一緒に行かない? その…。今度はふたりで…。」
■晃一の過去
だが、晃一には時間がなかった。
折りしもその明後日の朝、晃一は帰らなければいけなかったのである。
実は晃一の両親は離婚していて、
別れた父親の実家である島に来ても長居できなかったのである。
おいおい。
そーゆー設定はもっと早く言ってくんねーと!
その実家のばーさんとはあんなに仲良くしていて
長居できないってはちょっと無理ないか?ということで、
オトナな設定にまたしても別れという現実を突きつけられてしまった夕夏。
「5年よ? 5年も待ってたのに…」
せっかくこの夏に、この海で会えたのに。
5年前も晃一のほうから先に帰ってしまったのに。
帰っていく夕夏の後を追えず立ち尽くす晃一。
幼い頃。
家庭の不和により島を出て行くことになってしまった晃一。
「でも来年も来るでしょ?」
という5年前の夕夏との約束を守れなかった自分がとても情けなくて泣く。
そんな晃一の過去を知るよしもない夕夏にとっては
理由がわからずに無念の涙をこぼす。
切ない理由による別れ。
このまま夕夏と別れたくない。
まっすぐにこの気持ちを伝えたい。
そして晃一はひとつの結論に至る。■思い出は伝説に
夕夏に届けたい。
それは島の伝説にあるハート型の貝殻。
その貝殻を見つけたい。
見つけたら、今の想いを全部伝えられる気がする。
だが、さすがに伝説だけにそんな貝殻はなかなか見つからない。
そこへヒロシから晃一の過去を聞かされた夕夏が砂浜にやってくる。
本当は貝殻を渡しながら夕夏に言いたかったのだが
晃一はいきなり切り出した。
「あのさあ。この島に伝わる伝説知ってっか?」
この伝説を語るということは、
そのまま告白という話の内容になるだけにさすがに晃一も頬を染める。
その話を夕夏はそっと受け止めてくれた。
「ねえ、晃一くん。その伝説5年前から知ってた?」
「あたし5年前にもらってるのよ。ほら」
その瞬間。晃一の脳に過去の記憶がフラッシュバックする。
たしかにその貝殻は5年前に夕夏にあげたものであった。
さらにその日伝説が生まれたのだ。いやそもそも、伝説というよりは
晃一がばーさんたちに話をしたことからいつのまにか島に伝わる伝説となってしまったのだ。。。
だが、今となってはそんな伝説が
本物だろうが偽物だろうがどうでもいいのだ。
好きという気持ちに嘘偽りがなく、ホントならそれで…。
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足掛け4時間。
夜中にはじめて、書き終わったら日が昇りつつあるじゃんか。
でもなんとかクリスマスイブに間に合ってホッとしております。
あとは自動公開タイマーにして寝るだけです。
とりあえず注さん的に『夏色』はなんとしてでも読みたかった物であり
ネット世界ならどこかにバックナンバーあるだろうと思って探して探して見つからなかったものですから、今回提供していただき本当にありがとうございます。
本当はもっとゆっくり時間かけて気長に書いていく予定でしたが
『クリスマス記事』という風潮に乗ってしまって自ら首を締めた次第です。
きっと、注さん以外にも『夏色』を探している方おられると思いますのでこんなテイストでよろしければどうぞ召し上がってください。といった感じです。
でもこーゆーのって読んだ後すぐに取り掛かることで
体感鮮度を生かしたいという気持ちもあるうえ、そのへんのタイミングはそれぞれなんで難解でしたわ。
細かい設定とか読み飛ばしたため、書いてて辻褄合わなくなってたりと、
なかなか書いててスリリングでした。
きっと来年あたり、河下先生の新連載くると思ってますから
即効アウトプット作業の練習にもなっていいと思います。
このあとはサブタイトルに宣言したとおり
大晦日企画のためにまた書かなくてはいけません。
多分それが終わったらひと区切りとなるのでしょう。
それでは皆さんよいクリスマスイブを!注さんは今夜、料理係なんでいろいろ忙しくて一眠りして買出し予定。