
「加賀見イタズラしてぇ」
「いいの?」

その言葉どおり加賀見はひだりのタイを外しベッドに押し倒す・・・。
でも。
加賀見に押し倒されても
由紀に押し倒されたときの恐怖感は無かった。
いまだひだりの中では『大人になるという感覚』が理解出来ていなかった。
男の由紀の姿を見てしまってから
今までの関係が当たり前と感じてしまい
由紀からの愛情に鈍感になってしまったと感じているのである。
そんなひだりに加賀見は言う。

「距離をおいてみたらどうっスか?」
ああ。
この加賀見の立ち位置も微妙だな。
この春。
中学3年生になったひだり。
あれほど大人びて見えた上級生だったのに
自分がその立場になっても何も変わらない。
そんな気持ちを抱えたままのひだり。
大人になるってどういうことなんだろう。
そんなひだりは体育の50m走で
男子のサッカー部に混じって練習している堀田と出会う。

掘田と競り合うひだり。
意外に足の早いひだりに驚く掘田。
これが出会いだった。
堀田を意識し始めるひだり。
男子の中に混じって頑張る姿に自分の今の姿を照らし合わせる。

中学生になってから家事をする為に習い事を辞めてしまった。
習っていたテコンドーだって続けていれば今とは違う自分になれたかもしれない。
自分にはなにもないと卑下してしまう。
河川敷で子供たちにサッカーに誘われ
久々に自分のいる場所を見つけた気持ちになるひだり。

楽しい。
一心不乱にボールを追いかけ。
ゴールネットに吸い込まれるボールを見るたびに
胸の奥から楽しさがわいてくる。
そして。
堀田に誘われ女子サッカー部の創設に関わるひだり。

大人になるというより自分の居場所を探すことから
自分らしさを見つけようとするこのいい表情。
女装のためにサッカーをあきらめた由紀。
自分の存在を見つめ直すためにサッカーを始めるひだり。
二人の気持ちはいったいどう交わっていくのだろうか。
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