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河下水希 『初恋限定。』 第23話「コノハナサクヤ3/3〈その思い出には満開の〉」感想。 




本当は絵なんて完成しなくてもいい。



…連城先輩に会いたい。





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一緒にいられる時間を大切にしたいから…。



別れの時が迫っていることを告げられても。



まだ、その別れの日までは時間があるはず…。



だってまだ絵は完成していないから…。





名央は息せき切って美術室の扉を開く。






しかしそれは

幸せの時間の終幕でもあった。








いつもなら、連城のほうが先に来ていた。

だけど今日は

いつまで待っても連城は姿をあらわさない。





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恋する乙女の顔はだんだんと心配顔になる。




ふと。名央は思い当たる。




昨日とは違うイーゼルの位置に。




そして見つけてしまう。




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まだ着色が済んでいないキャンバスに

描き加えられた名央の姿と満面の笑顔を。




そして連城からの置き手紙を。




『千倉さんへ---
  
 何も告げずに去ってしまうこと
 
 本当にすまないと思っています。
  
 でも、楽しそうに絵を描く君を見ていると

 どうしても言い出せませんでした。

 千倉さんがこの手紙を読む頃

 僕はもう日本を旅立っているでしょう。

 僕が進む道を周囲の人たちに反対

 されていることは話したよね。

 最近までずっと僕は
 
 そのことで悩んでいました。

 だから中学に行って思い出したかった。
 
 絵を描くのが一番楽しかったあの頃を。

 千倉さんと出会って、そして一緒に
 
 絵が描けて本当によかったと思う。

 最後にもらった君の言葉と

 あの笑顔は一生忘れません。

 だから君は

 いつまでも笑顔のままで---』





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名央は窓を開けて確認した。





そして屋上めざして走った。




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途中転んでしまってもあきらめなかった。






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連城が名央に対して
抱いていた気持ちの答えはそのキャンバスに残された。





だけど。

名央からの気持ちは…。

まだ…なにも伝えてはいない…。
















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名央は日本を去り行く飛行機を見上げながら号泣する。





連城との出会い。




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それは突然の出会いだった。



『そうだね。忘れ物…かな』



連城にとってなにも考えず
ただひたすら描く事が楽しかった中学生時代。




その思い出が懐かしくてやってきただけだった。





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自分の残した絵を憧れと評してくれた名央に、連城は提案する。
「じゃあさ。この絵、一緒に完成させてみようか?」






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将来の夢。
周囲はみんな反対したけれど名央だけが賛成してくれた。




それだけでうれしかった。




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だから抱きしめた。








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あこがれと共に生まれた淡い感情。


名央にとってそれは間違いなく。初めての恋。



その想いは結局打ち明けられることなく、消えてしまったけど。



ふたりは同じ気持ちを抱えていた。



だから名央は描く。



連城への想いをこめて。







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もうふたりの作品としては完成しない一枚の絵。



しかし名央は続きを描いた。





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涙をぬぐいキャンバスと対峙した。





その絵に足りなかったもの。


桜の花びら。


それを埋めるべく技術。


それを支えるべく感情。




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あこがれていた連城の優しく鮮やかな色合いとタッチ。






おそらく連城と出会うまではその技術はつかめなかったであろう。



だけど。




いま。





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名央は連城の技術も、想いも正確に捉えていた。



















ちょっと尻切れ感ありますが

ひさびさにバレ全開レビュー行っちゃいました。




完璧すぎる程よく出来た男。連城。



こんな方を悪人や幽霊かと思ってしまったよ。
注さんはなんと心がねじれているのだろうか。



今回の名央の号泣を見て、再び中学時代の苦いものが浮かんできました。



それは注さんの中学校卒業式での話。



注さんは決めていた。

それは手が届かなかった女の子に想いを伝えること。

14歳のときから温め続けた恋心。

たしかに彼女には仲のいい男子はいる。

だけど交際している様子はなかった。



そもそも、自分が思いの丈をぶつけたところで

その想いが報われる事がないのは知っていた。



だいたいこの告白は最初から負けが見えている告白である。




もしも彼氏彼女になったところで

自分への評価が限りなく低い自分が

いったい彼女に何をしてあげられるのか?




それでもいい。

あまりにも身勝手な考えだったが

このまま妙に後ろ髪惹かれる気持ちで卒業したくなかった。



そして彼女を呼び出すつもりで声をかけようとした…。



だが声はかけられなかった…。



彼女は泣いていた。

悲しくて泣いている泣き顔ではなかった。



彼女の周りの友達が彼女を褒め称えていた。

彼女はうれし泣きをしていたのだ。



彼女の手にはボタンが握られていた。

古い話で恐縮だが、

彼の第二ボタンが彼女の小さな手のひらの上にあったのだ。



ただ単にボタンを渡しただけではない。

言葉も添えられていたに違いない。

ボタンだけで涙を流すなんて考えられなかった。




この瞬間注さんの想いは消えた。




その夜、初めて酒とタバコの味を覚えた。





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[ 2008/03/18 01:35 ] 初恋限定。 | TB(0) | CM(5)
僕は千倉ファンではないんですが、正直たまりませんでした(ρд`)
千倉さんのあの泣きじゃくってしまう姿。
やっぱり初恋限定。はいいですね!
これからもちゃんと続いてほしい。
ちなみに僕は岬さん(の次があゆみの次が慧)が好きです。メジャーですけどね。

注さんの気持ちわかります!
想いを伝えようとしたとき、彼女に他に好きな人がいるとわかってしまったとき、もうどうすることもできません。
自分のこの想いを抑えることもできなくなってしまいます。
僕も経験したことがあるので、すごく共感をえました。
[ 2008/03/18 15:59 ] [ 編集 ]
私はまだこんな経験ないけど友達には何人かいるよ>w<
名央ちゃんは強い子だからね。
きっと大丈夫!!
[ 2008/03/18 18:17 ] [ 編集 ]
拙ブログにコメントを下さりありがとうございました。
こうやってまとめてくださると、
今回の話がいかに美しかったかがよくわかります。
切なさに透明感があいまって・・・
河下マンガの魅力フルスロットルでしたね。

実際の恋愛体験と絡めて・・・というと
私は女性キャラに感情移入することが多いのですが
人間的な未熟さの共感として曽我部に親近感を覚えます。
先が楽しみですね。

リンクありがとうございました。
こちらからもさせていただきましたので、今後ともよろしくお願いします。
[ 2008/03/19 02:27 ] [ 編集 ]
うちの娘も4月から親元を離れる(国内ですが)ので、気分はすっかり連城くんのお父さんですね。娘は家でゴロゴロしてますが。
[ 2008/03/19 08:29 ] [ 編集 ]
タイトルは「初恋限定」
この先、名央ちゃんの恋バナが描かれることがあるのか、心配していたけど、ないほうがいいと思えてきた。

名央ちゃんに惚れる話はあってもいい。でも、名央ちゃんが惚れる話は、「コノハナサクヤ」で十分だ!!
[ 2008/03/19 22:04 ] [ 編集 ]
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