パティスリー鶴屋は本日も大盛況。
婆さんの孫が帰ってくるたびにこんなに混む様なのだ。
その孫とは海外に修行に行って洋菓子でいろんな賞をもらっているパティシエのようである。
●なんだか噂の男が来た!?
「騒がれるのは当然ですよ!! 今回の新作だって素晴らしいものばかりで」

「女の子なら誰だって あの味知ったらとろけますよ」
めずらしく頬を赤く染め照れたような表情を浮かべる西野
一方真中は唯のいなくなった自分の部屋で一人たたずんでいた。
一人暮らしを始めた唯は、今日新しいマンションへと引っ越していった。
「…久々だなベッドで寝るの 半年ぶりか」
などと唯と暮らした半年間を懐かしむようにつぶやき、大切なことを思い出した。
そう。テアトル泉坂でのバイトに行ってなかったのである。
無断欠勤。
玉三郎館長は無断欠勤の詫びは『つかさちゃんの水着姿』を見せてくれというのである。
強引な押しで西野をプールに誘う館長。

「えっプール!? あたしすごく行きたいかも!!」
乗り気の西野に対し、

真中の表情は険しい。
そんな真中に西野が怪訝な表情を見せる。

「プールに誘ってくれたの淳平くんだろ? なんか行きたくないみたい!!」
西野のバイトは明日が休みと言うことで映画館も明日は臨時休業としてプールに行くことを主張する館長。
西野の水着はビキニということで、はしゃぐ館長だが真中の表情はそれでも暗かった。
なぜか?

「はあ? 練習しないで泳げるようになる方法!?」
そう真中はカナヅチだったのだ。
「とりあえずなるようにしかならねーんじゃねーの」
泳ぐ問題はともかくとして、映画のCG処理を担当している外村から驚きの言葉を聞くことになる。

「つかさちゃんいい表情してるよなぁ こりゃ絶対今恋してる顔だぜ」
西野やっぱり俺のこと… なんて勝手な想像の真中はいつもどおりのことなのでスルー。
さらに外村の一撃
「しかも相手は年上の男とみたね! 大人の男とつき合わねーとこんな艶っぽい表情できねーだろ」
てるてる坊主を逆さに吊るしても翌日はカラッと晴れた真夏日で炎天下の日差し。
地図を手に着いた場所は豪邸。
館長の息子夫婦は昨日から海外旅行に出かけている。大変な金持ちのようだ。

西野のビキニ姿!!
なんとも健康的な色気でしょうか。
「わあー すごいリッチ 来て! 淳平くん!!」
館長もビーチソファに座りハンディカメラ片手に泣いております。

そしてプールサイドではお約束の突き落とし。
しかし、真中にとってこの事態は最悪の結果をもたらした。
真中が隠していた秘密。カナヅチがばれてしまったのだ。
プールサイドに引き上げられ落ち込む真中。
西野の前で保っていた真中の精一杯の背伸びが音を立て崩れ落ちた。
『俺…今死ぬほどカッコ悪い これ以上見つめられたらきっと俺 逃げ出す…』
そんな真中の心情を察した西野は
「逃げちゃダメだよ」と勇気づける。
「できないということは恥ずかしいことかもしれないけど習ったり練習したりするのは 意外と楽しいことだったりするかもよ?」
「女の子ならもし自分が海や川で溺れちゃったら 迷わず飛びこんでほしいと思う あたしは淳平くんにもそーゆー男になってほしいな」
西野は笑って手を出して 俺を一歩前に踏み出させてくれる
『西野といると 彼女があまりに完璧だから冴えない自分を痛感させられて なのにたいして努力もしてなかった だけど せめて今度こそは西野の期待に応えたい』

そしてついに水に浮き…。

つたないバタ足で期待に応えた。
「おめでとう淳平くん…!!」
「…ありがとう西野… 西野って本当にすげえよ…」
「頑張ったのは淳平くんだよ」
実はこういうシーンって好きなんです。
こういう少年マンガらしいシーンって昨今見かけていないからでしょうか…。
そして帰り道の二人。
今日一日はかなり輝かしい一日だったと振り返る真中。
この感動を日記につけると宣言し、またいつか練習手伝ってくれることを約束し二人はそれぞれの家路に向かう。
そこへ西野の姿を見つけクラクションを鳴らす一台の車。
パティスリー鶴屋のロゴ入りの車。
「ああ やっぱり西野さんだ 今材料買ってきてこれから秋のケーキ開発するとこ そうだ西野さんも来る?」

「はい! 喜んで手伝います!」
『つかさちゃんいい表情してるよなぁ こりゃ絶対今恋してる顔だぜ しかも相手は年上の男とみたね!』
●つかさに誰かが急接近中…ッ!?
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