
「淳平くん! 今からあたしの家に来ない?」
●いきなりつかさの積極攻勢ッ!?
「え…」
とまどう真中に西野が重ねる。
「今晩うちのお父さんとお母さんいないんだ 覚えてる?去年の秋別れたあの日 あそこからもういちどあたし達やり直してみよ!」
しかしそれは真中の都合のいい夢の話であった。
その日 8月29日…。
夏休みもあと数日を残すその日、宿題はひとつも片づいてはいなかった。
頭を抱える真中であったが、まずしなければならないことはバイトを休むことだった。
たまたま通りかかったのか美鈴とはちあわせる。
「バッカだねー アンタ先に楽して後に苦しむタイプかあたしなんてそんなの合宿前にやっちゃったもんね」
「わ 悪かったな…」
そこでハッと気付き、何を言い出すかと思えば真中の代わりに美鈴が働いといてくれ…。
そして家路に走りながら宿題を見せてもらえそうな仲間を思い浮かべる。
×小宮山
×さつき
○東城
…ダメだ合宿以来まともに話もしてないのに
○外村
妹が終わってるくらいならアイツだって終わってるはず!!
と立ち止まったときガラの悪い二人組みに突き飛ばされる。
そして持っていた財布の中身を路上にぶちけてしまう。

そんなガラの悪い二人組みもこの男の前には何もできなかった。
背の高く、手から甘いにおいのする男。

真中の小銭を拾ってやり、さらには自販機の下へ転がっていった小銭までも拾ってくれる、
えらく威勢のいい男。

自分の部屋に戻り外村に宿題写させてくれと頼む真中。
交換条件は『西野の水着写真』くれよ。
「アホ! んなの撮ってるワケ(ねーだろ)」
といいかけたところで西野からキャッチホンが入る。

「淳平くん もし暇ならうちに来ない?」
思わず胸が高鳴る。
…これは朝の夢の続きか?
西野のオリジナルで作っているケーキを試食してほしいということで…。
「…お 俺なんかでいいなら…」
再び西野の家に行く。
去年の秋。別れを告げられたあの部屋へ。
迷いのさなか思わず電話を切ってしまう。

外村とのキャッチはまだつながったままで。
そのころテアトル泉坂には東城が真中あてに旅行のお土産を届けに行っていた。
しかし宿題が片づいていない真中は本日休み。

みんなには新学期に渡す予定で真中には今日渡したかった…。
東城も彼女なりに真中にアピールしているのです…。
真中は宿題もそこそこに西野家のチャイムを押していた。

「わざわざごめんねー」
ってパッと見 裸エプロン…。
もちろん下に着てるんだけど、こんな調子でのっけから真中はヒートアップ。
試作のケーキは売り物のような出来栄えで、以前ゲテモノ料理を作った女の子とは思えないほどに腕が上がっていた。
「あたしの部屋行って食べよっか」
「あ うん…」
真中の脳裏に去年の秋の出来事がよみがえる。
あの時西野を抱きしめていたら、展開が変わっていたであろうあの日。
俺は心臓が破裂しそうなくらい緊張してるけど西野は
西野は 今 何考えてる…?

部屋の入り口で立ち止まってしまう真中に声をかける。
「? 何?」
「…いや 本当に入っていいのかな…って…」
「いいよ 遠慮しないでどうぞ」
もしあの時西野を抱きしめていたら…。
そしてもしもう一度あの時と同じ状況になったら…。
このケーキを食べ終わったら…今朝の夢みたいに…。と覚悟を決めた真中であったが、
西野の口から出てくるのは婆さんの孫のパティシエの話ばかり。
つまらなくなった真中は話題を変える。
「前に来たときより明るくなったね 模様替えした?」
「…そお? 今の部屋にしてから…だいぶ経つから」

そして何気なくかけたCDからは、あの日に流れた曲…。
消そうと立ち上がりかけ転ぶ西野。
支えようとしてバランスを崩す真中。
そして二人は折り重なり…。
チャイムが鳴る…。
やってきたのは

甘いにおいをした手を持つ男。
●つかさと親しげに話す男、いったいどーゆう関係!?
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